始業式と入学式が行われ、これで全児童がそろった。
子ども達は元気で楽しそうだ。
これからの5年先、10年先が予想出来づらい今、何が重要なのか。
それは子ども達と一緒に生活をしている方々の共通の思いだろう。
始業日や入学式で、私が子ども達に伝えたことは、
自分の学び(知識)は、自分自身のものとする以外に、広く他のために使っていく、そんな心を持ってほしいということだ。
そのもとになるのは、青葉台初等中等学部の綱領の一文による。
「学問から得た知識は 世界平和のために 真に人類の幸せのために 尽くすことを誓います」
当学園の創設者、塚原港の思いだ。
スケールの大きな思いが、子ども達を大きく育てるのだと思う。
私も子ども時代にそんな思いを大人に掛けてもらったら、何か違ったかもしれない。
私は昭和一桁世代の両親から生まれた。
大人になって、畳を歩くときはへりを踏まないのが昔の常識だったと知ったとき、教えられていない自分は、親が知らなかったのかと思ったがそうではなかった。
知っていて教えなかったのだ。
戦前戦後と価値観が変わった時代を生きた両親だが、それほど価値観は変わったのだと理解した。
教える側にいないと思ったのか、私の親は子どもには多くのことを教えなかった。
だから、このように、自分のもの(力とか思いとか)を自分でかかえ込むだけでなく、他に振り向けていくという発想に大人になってから触れた私は、深く感動した。
私が子ども時代に持てなかった思いではあるが、目の前の子ども達はこれからを生きるのだ。
無限の可能性の中で、自分の力を他の為に惜しみなく使っていくことを身につけていくだろう。
それは、子ども達にとって幸せに生きる大きな要因にもなっていくだろう。
自分を大事にすることはもちろん、他を大事にする心があれば、その人は幸せになると私は思う。
幸せの切符を手に入れたも同然だ。